塗装できない屋根の見極め方

スレート瓦を使った屋根のメンテナンスにおいて塗装でのメンテナンスができない場合があります。この判断を間違えて塗装してしまうとメンテナンスそのものが無意味になってしまうことがあるので注意が必要です。
結論から言えばスレート瓦の傷みが激しい場合は塗装を行わないことをおすすめします。塗装の向かないスレート瓦の見極め方があるので背景も含めてここで説明いたします。

1)2回以上スレート瓦の塗装でのメンテナンスをした家
2)2004年~2006年頃にスレート瓦で新築または葺き替えをした家

1)に関してはスレート瓦そのものの傷みがひどい場合や行ったメンテナンスの不備で再塗装ができない場合です。スレート瓦そのものは防水性が切れてしまうと水が染み込み寒い時期に染み込んだ水が凍ることで割れが発生し少しずつ劣化していきます。また、塗装でのメンテナンスにおいて不良施工があると塗膜の剥離や割れが発生している場合、その上に塗装を行ってしまうと下の塗料から剥離や割れが発生し新しい塗装が無意味になってしまいます。

2)に関してはスレート瓦そのものが層間剥離を起こしてしまうパターンです。日本では1975年9月に吹き付けアスベストの使用が禁止され、2004年に石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止、2006年には同基準が0.1%以上へと改定されました。そのため、スレート瓦に使われていたアスベストが使えなくなり、その初期に製造されたスレート瓦に不具合が発生しています。瓦そのものが破損してしまいます。小口の部分から水でふやけたように瓦の端が広がってしまったり、表面が剥がれてしまったり、割れて滑落したりします。時間の経過とともに劣化が進みます。

以下のスレート瓦が層間剥離などを起こす瓦になります。

塗装の時に注意するスレート瓦

ニチハ パミール
積水化学工業セキスイかわらU

ニチハ【パミール】 松下電工【レサス シルバス】 積水化学工業【セキスイかわらU】 ※現在は松下電工とクボタは合併してケイミューになっています。積水化学工業は、現在は屋根材の販売はしていません。
※スレート屋根材に関してまとめています。スレート屋根とは瓦の一種でケイミュー社のコロニアル(商品名)に代表される屋根材のことを指します。平型の瓦が多いですが、波型や特殊な形をしているものもあります。コロニアルが広く広まったため、スレート屋根を一般名称としてコロニアルと呼ぶこともあります。また同じようにカラーベストと呼ぶこともありますが、これはケイミュー社のスレート瓦のシリーズ名称の一つです。

1990年8月から販売が開始されましたセキスイかわらU。もともとセキスイかわらUは1970年から販売が開始された商品で非常にシェアが高い商品で、そのノンアスベストバージョンになったものが販売開始されました。
1996年から販売されたニチハのパミール。 1999年から販売された松下電工のレサス。2001年にレサスの高級商品であるシルバスが販売開始されました。

1990年から2001年までに販売開始されたこのvノンアスベストのスレート瓦で、現在もシリーズが継続して販売されているものはコロニアルNEOだけです。(2017年3月現在)

セキスイかわらUは2013年に販売を停止、商品名としては40年以上の歴史に幕を下ろしました。その後積水化学工業は屋根材の開発販売事業をやめました。ニチハのパミールは2008年に販売を停止。
そこに至る過程の中でネット上でもかなり問題視されましたが、メーカーは経年劣化とういことでリコールなどは出していません。

松下電工のレサス、シルバスに関しては後から出したシルバスが2003年、レサスは2006年に販売を停止しています。最も短い販売期間だったのはシルバスの3年弱。レサスが7年弱。パミールが12年弱。セキスイかわらUは23年弱となります。
この結果から見ても分かる通り、初期のノンアスベスト商品は不具合が多い商品であったことがわかると思います。

次には上記のスレート瓦の適切なメンテナンス方法をお伝えします。

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